ファクタリングと相性の良い業種と不向きな業種を解説

ファクタリングは、入金待ちの請求書(売掛金)を売却して、支払い期日よりも前に現金化する資金調達手段です。
銀行融資よりも審査が柔軟で、即金性のある「ファクタリング」。多くの中小企業や個人事業主に利用されている一方で、実は業種によって相性の良し悪しがあります。
本記事では、ファクタリングと「相性の良い業種」と「不向きな業種」について解説し、さらに具体的にどのような要素がファクタリングとの相性に関係するのか、わかりやすく紐解いていきたいと思います。
改めて、ファクタリングとは

ファクタリングとは、企業が保有する「売掛債権(請求書)」をファクタリング会社へ売却(譲渡)し、手数料を差し引いた金額を期日前に受け取ることができる資金調達サービスです。
ファクタリング自体の業種は、大分類では「金融業」、細分類では「他に分類されない非預金信用機関」に位置づけられています。ただし、契約形態は銀行融資などの「金銭消費貸借契約(貸付)」とは異なり、「債権譲渡契約(売掛債権の売買)」である点に大きな違いがあります。
ゆえに仕組み上「借入(借金)」ではなく「資産の売却」にあたるため、利用しても貸借対照表(B/S)の負債が増えず、信用情報機関の履歴にも残らないのが特徴です。また最短即日で資金調達が可能である場合もあることから、急な「つなぎ資金」を確保する場面で重宝されています。
参考:日本標準産業分類(平成25年[2013年]10月改定) – e-Stat
ファクタリングと相性の良い業種
ファクタリングと相性の良い業種は、主に次のとおりです。
- 建設業(下請含む)
- 運送・物流業
- 製造業
- 卸売業
- 人材派遣・請負
- 受託ビジネス(IT・制作・広告など)
- 医療(診療所・薬局など)
- 介護
参考:中小企業実態基本調査 令和4年確報(令和3年度決算実績) 確報 – eStat
建設業(下請含む)

建設業は、ファクタリングの利用率が最も高い業種の一つです。主な理由は、受注から入金までの期間(支払いサイト)が非常に長い点にあります。
具体的には、工事完了後「完成または請求から50日後」などのケースが多く、着工から入金まで数ヶ月のタイムラグが生じるのが一般的です。その間にも資材費、重機リース代、外注費、職人の人件費などの「先行費用」が複数発生するため、手元の資金が不足しやすい側面を持っているのが特徴です。
こういった背景に加え、公共工事(国や自治体)の案件などの場合は、売掛先の信用力が極めて高いため、ファクタリング審査でも有利に働きます。このように利用シーンが多い点、利用しやすい売掛先を持っている点が、ファクタリングの利用率が高い理由となっています。
運送・物流業

運送業もまた、典型的な「先行費用」が発生する業種です。
トラックの燃料費(ガソリン代)、高速道路の利用料、車両の修繕費などは日々現金や短期サイトで支払う必要がありますが、国の統計によると支払いサイトは平均約44.5日と長く、さらに手形払いの慣習も根強く残っていることから、支払いサイトが60日以上となるケースも少なくありません。
これに加え、近年の燃料費高騰が経営を圧迫しており、即座に資金を確保できるファクタリングの需要が高まっています。幸いにも売掛先が大手メーカーや大手商社であるケースも多く、審査に通過しやすい側面からファクタリングの利用が増えています。
製造業

製造業は、原材料の仕入れや機械設備の維持費、工場の人件費などが先行してかかります。
一方、製造業の支払いサイトは平均で約63.7日と他業種より長めで、売上が立っていても入金まで数ヶ月かかる場合が多く、次の案件を受ける前に資金が枯渇することも少なくありません。さらに、急な大口注文が入った場合は材料費が急増し、一時的に資金ショートを起こすリスクなども持っています。
このような緊急性の高い「つなぎ資金」のニーズは、銀行融資では時間がかかり過ぎるため、即金性のあるファクタリングが重宝されています。
卸売業

卸売業は、在庫を抱えてから売上回収までのタイムラグが大きい業種です。
その支払いサイトは平均で約57日と製造業に次いで長く、売掛金の回収前に支払いが集中して、資金不足に陥りやすい特性を持っています。また季節需要で大量仕入れが必要になるなど、資金管理を見誤ると黒字倒産のリスクも背負っています。
ただし、売掛先が小売店や商社など継続的な取引関係にあることも多いため、ファクタリング審査の材料となる書類(請求書や通帳の入出金履歴)も用意しやすく、スムーズに利用できる傾向にあります。
人材派遣・請負

人材派遣業は、典型的な「人件費先行型」のビジネスです。
派遣スタッフへの給与は毎月支払う必要がありますが、派遣先企業からの報酬が入金されるのは1〜2ヶ月先になることが多く、このタイムラグが資金繰りを圧迫します。派遣スタッフが増えれば増えるほど立替払いが増加するため、事業拡大の局面で資金不足に陥りやすい性質を持っているのも特徴です。
ただし「人材」が商材である以上、給与未払いは会社にとって存続リスクに直結します。ゆえにファクタリングのように即金性があり、売掛先(派遣先)の信用力も活用できる資金調達方法は好相性です。
受託ビジネス(IT・制作・広告など)

システム開発、Web制作、広告代理店などの受託ビジネスもファクタリングと好相性です。
国の統計では、情報通信業の平均債権回収日数は約49日。納品して検収が完了するまで請求ができないケース等がありますが、エンジニアやデザイナー、サーバー代などは期日通りに支払う必要があります。
ファクタリングはこのような運転資金ニーズにも相性が良く、「つなぎ資金」としての少額取引も可能です。また昨今では「ITフリーランス向けの請求書買取サービス」といった業種特化のファクタリングサービスも普及しており、個人事業主でも利用ハードルが低くなっています。
医療(診療所・薬局など)

医療機関(病院、診療所、調剤薬局)が受け取る「診療報酬」は、支払いまで通常2〜3ヶ月かかることから資金繰りが悪化するケースがあります。
ただし、診療報酬の支払い元は「社会保険診療報酬支払基金」や「国民健康保険団体連合会(国保連)」といった公的機関であり、ファクタリングにおいて貸し倒れリスクはほぼゼロとみなされます。
このため、ファクタリング会社からの評価が非常に高く、一般企業よりも圧倒的に低い手数料で利用できるのが特徴です。なお、ファクタリングによって得た資金は、人件費や医薬品の仕入れ、医療機器の購入、開業資金の充当などに活用されています。
介護

介護事業(介護施設・福祉施設など)も医療と同様に、国保連に対して請求する「介護報酬」が売上の大半を占めます。
前述と同じく、介護報酬もサービス提供から入金まで約2ヶ月の支払いサイトがあるため、この期間の人件費や施設運営費を賄うためにファクタリングが広く利用されています。
また「介護報酬ファクタリング(利用者・ファクタリング会社・国保連の3社契約)」という業種特化のサービスも確立されており、債権譲渡の手続き等も定型化されているため安心して利用できます。
ファクタリングが難しい業種
逆に、ファクタリングが難しい業種は主に次のとおりです。
- 現金商売(飲食・小売など)
- BtoCビジネス
- 請求書・契約書がない業態
- 譲渡禁止特約のある取引
現金商売(飲食・小売など)

飲食店、美容室、アパレル店舗など、その場で顧客から代金を受け取る「現金商売」は、そもそも売掛金(後払いの債権)が発生しないため、ファクタリングを利用できません。
ただし、クレジットカード決済を導入している場合は、カード会社に対する「加盟店売上債権」が発生するため、これを対象としたファクタリングであれば利用可能なケースがあります。
しかし、一般的な請求書買取型のファクタリング会社では対応していないことが多いため、専門の業者を探す必要があります。
BtoCビジネス

学習塾、美容院・エステ、ジムなど、「一般顧客(個人)」を対象としたビジネスもファクタリングには不向きです。
ファクタリング審査では「売掛先(請求先)の信用力」を調査しますが、顧客一人一人(数多くの個人)の支払い能力を調査することは現実的に不可能です。
また、個人に対する債権は法人に対する債権に比べて貸し倒れリスクが高く、債権譲渡登記もできないため、多くのファクタリング会社が買取対象外としています。
請求書・契約書がない業態

業種に関わらず「契約書」や「発注書」が存在しない、口約束だけの商習慣がある場合は、ファクタリングを利用することはできません。
ファクタリング会社は書類を通じて「売掛債権の安全性(本当に存在する債権か、売掛先の信用力は十分か等」を確認するため、客観的な証拠がない債権はリスクヘッジとして買い取ることはありません。
また、反社会的勢力と関わりのある業種や、アダルト関連、ギャンブル関連などもコンプライアンスの観点から利用を断られることが一般的です。
譲渡禁止特約のある取引

取引先との契約書に「譲渡禁止特約(売掛金を他人に譲ってはいけない決まり)」が含まれている場合、ファクタリングの利用が難しくなることがあります。(公共工事や官公庁・自治体との取引に多く見られます)
2020年の民法改正により、譲渡制限特約が付いていても債権譲渡そのものは「原則有効」へとルールが緩和されました。しかし、特約に違反して譲渡した場合、取引先から契約違反を問われたり、今後の取引を停止されたりするリスクは依然として残っています。
そのため、ファクタリング会社はトラブル回避を最優先し、特約付き債権は買い取らない方針を取っているサービスが未だに多いのが実情です。
ファクタリングとの相性を決める要素

同じ業種であっても、以下の要素によって審査の通りやすさや手数料が大きく変わります。
- 売掛債権の有無/継続性
- 売掛先の信用力
- 支払いサイトの長さ
売掛債権の有無/継続性
まず前提条件となるのが、確定した「売掛債権(売掛金)」があることです。当然ながら、売上見込みがあるだけではファクタリングを利用することはできません。
また単発取引よりも、毎月継続して発生している売掛金の方が審査で高く評価されるのが一般的です。継続的な取引履歴(通帳の入金履歴など)が確認できる場合、債権そのものの存在や売掛先の信用力の裏付けが取れるため、審査通過率にプラスに貢献します。
売掛先の信用力
ファクタリング審査において重要視されるのは、利用者ではなく「売掛先(取引先)」です。
たとえ利用者が赤字決算や税金滞納中であっても、売掛先が上場企業や公的機関、あるいは経営が安定している企業であれば、審査に通る可能性は十分にあります。
一方、売掛先が個人事業主であったり、業績不明のスタートアップ企業、経営不振の企業である場合は、回収リスクの観点から買取を断られることがあります。
支払いサイトの長さ
ファクタリングの手数料は、資金の立替期間(=支払いサイト)が長いほど高くなる傾向があります。
ファクタリング会社としては、売掛金回収までの期間が長ければ長いほど、その間に売掛先が倒産するなどの回収リスクが高まります。
ファクタリング会社にもよりますが、一般的には「請求書発行から入金まで30日〜60日程度の債権」の買取が通例です。あまりに長期(半年など)の債権は敬遠される場合がある点は覚えておきましょう。
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